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NO 83 平成25年3月22日発行 Adobe Acrobat readerをインストールした上でご使用ください。
NO.25 平成13年8月25日発行より...講演会、全国大会報告他 NO.24 平成13年6月25日発行より...総会開催
NO.23 平成13年4月1日発行より..四天王寺「和らぎ苑」重症心身障害児施設が完成しました NO.22 平成12年12月7日発行より...会報全文掲載...第6回セミナー報告他 NO.21 平成12年9月1日発行より...会報の全文掲載に変更しました。(イベント情報除く) NO.20 第7回定時総会開催にあたって 強度行動障害問題を考える講演会に参加して...「行動障害を示す人達の行動背景の理解と支援について」 NO.18 新年のご挨拶を申し上げます NO.17 社会福祉法人「全国重症心身障害児者を守る会」とブロック活動NO.16 創立35周年記念大会に参加して...激流の中での記念大会NO.15 総会開催に当たって...第六回 NO.14 1999年の抱負 NO.13 学校卒業後も豊かな社会生活を
十年を一区切りとすれば、今の支える会は折り返し地点をすぎて、ゴールへ向かっている途中です。ゴールは何か?勿論「どんなに障害が重くても人として当たり前に生きる」ことです。そして、そのゴールに向かって大阪の各地で親たちの活動が活発になってきました。羽曳野・藤井寺市では学校での医療的ケアの充実・親の付き添い問題の解決を、岸和田・泉大津市・忠岡町では日頃お世話になっている地域の病院でショートステイの実施、入院時の親・家族の付き添い支援を、泉佐野市では重症心身障害者の取組を前提にした認可施設(知的障害者・身体障害者授産施設)の設立が、吹田市では重度障害者のための複合施設建設に、堺市では重症心身障害者の施設問題を考える会を設立し、堺市と共に重症心身障害者通所施設・入所施設建設計画を進めています。そして、大阪市では重症心身障害者援護施設の計画に大阪市支える会が参画しています。 NO.19 「支える会」セミナーに参加して... テーマ「障害者の権利擁護の法的対応について 平成12年2月28日(月)大阪市長居障害者スポーツセンターにおいて「支える会」主催の第5回セミナーが大阪弁護士会の「ひまわり」(高齢者.障害者総合支援センター)に所属されている弁護士 谷村慎介氏を招いて「障害者の権利擁護の法的対応について」のテーマで行われました。 私が今回のセミナーに参加したのは社会福祉基礎構造改革の「利用者保護制度」のひとつとして創設された地域福祉権利擁護事業が今後どのような形で各市町村に浸透していくのか又重い障害を抱えた子供を持つ家族はどのように利用すべきか、どんな問題点がありながらスタートした事業なのかを少しでも知っておきたかったからです。もう一つは成年後見人制度等関連4法案の中の一つである「任意後見契約に関する法律」が新たに4月より施行されるところよりどのように利用できるものなのかと思い参加しました。いずれも始まったばかりの制度であり自ら意志決定のできない重症心身障害を抱える親一人ひとりが利用者の権利擁護の仕組みが整っていくのか今後の成り行きに注視しなければならないと思いました。親は「日頃から相談できる人.環境.他人に任される部分を作っておくことが大切です」とセミナーの中で先生が話されたのが印象的でした。 「参考」 「任意後見契約に関する法律」は今までにない新たな法律で「法定後見の決定を受けていない本人(障害者または障害者の親等)が充分な判断能力を有している間に、自己の判断能力の低下を原因とする家庭裁判所の所定の手続きを停止条件として、任意代理人に対し、所定の監督の下において自己の財産管理等に関する事務の全部または一部に関する代理権を授与する契約」です。 親が死亡した後は勿論のこと、痴呆になった場合でも予め任意後見契約で財産管理のみでなく、自分の身の振り方、そして重い障害を持つ我が子の処遇までも任意後見人に託すことができるのか、セミナー受講して今後さらなる環境整備が急務と思われました。 在宅の重症心身障害者を抱える家族にとって有意義な講演会.セミナー等の開催今後共に期待しています。 記 「支える会」会員 山村 大阪市だより
大阪市の「重症心身障害者援護施設のあり方検討委員会」が平成10年度から12年度にわたり検討されている中で、重心の子を持つ親として、近隣府県下の施設は見学して来ましたが、これからの障害者の生活を支える施設の方向性についての視野を広めるため、東京・神奈川方面の先進的な施設を見学する機会があり参加させて頂きました。
四人の親達が、皆それぞれに重い子を抱えながら、ショートステイの無い現状から預けるのに四苦八苦しました。改めて大阪市には支援のための施設がないということに直面しましたが、出発までになんとかやりくりをして思い切って参加しました。
当日は早朝の新幹線で出発し、午前一ヶ所午後二ヶ所見学しました。最初に訪れた「むらさき愛育園」は、板橋区にある「総合医療療育センター」の中にあります。広い敷地の中に整肢療護園(肢体不自由児施設)、むらさき愛育園(重症心身障害児施設)、外来療育部門、研修研究部門がゆったりと建てられています。「むらさき愛育園」には北浦会長の息子さんが入所されていて、彼の描いた絵が何点か飾られていました。施設内はゆとりのある設計で利用者のことを一番に考えて造られており、隅々にまで心配りが感じられました。職員も熱心で私達がこんなに感心しているのにまだ「あれもしたい」「こうもしたい」と心を巡らせていらっしゃいました。
次に訪れた「東大和療育センター」は、都立の施設を「全国重症心身障害児(者)を守る会」が委託をうけて運営しています。玉川上水の駅前に建つ近代的な建物です。措置入所、短期入所の他に外来診療部門や通所事業も行っています。入所の利用者に面会に来た家族のための宿泊施設もあり、ゆっくりと家族との時間を過ごすことができます。又、私が個人的にいいと思ったのですが、外来診療のフロアに、おむつ交換や着替えのできる更衣室や授乳室もありました。
最後の「みどり愛育園」に到着したのは夕方近くになっていました。しかし時間を気にすることなく、丁寧に全館を案内していただきました。ここは武蔵村山市にある民間の施設で、東京小児療育病院(肢体不自由児施設)と「みどり愛育園」(重症心身障害児施設)を運営しています。「生命を守り、発達を援助する」重症児の療育を実践されていて、入院病棟には生活を維持するために濃厚な医療を必要とする超重症児が多く入院されていました。「治療を受けながら日常生活も楽しむ」という考えから、学齢期の子供は体調をみながらすぐ隣にある村山養護学校に通学もされていました。
駆け足で三カ所の施設をまわったのですが、どの施設も医療と療育を総合的に行っており、多様な障害の診療に対応するため、訓練をはじめとする診療科目が非常に多く充実していました。
二日目は、午前中に横須賀市にある「ゆう」を訪れました。通所施設ですが、地域で生活していくための様々な生活支援をされていて、これからの家族支援・本人支援を新しいかたちで考え出されているユニークな施設でした。
午後には茅ヶ崎にある入所施設「空と海」を見学しました。他にもいくつかの施設を運営されていて、障害者の生活支援を行っています。どちらの施設も生活の場と日中の活動の場は分けるべきと考えられていて、その場所も援助スタッフも別にするという共通の考えを持っておられました。
二日間共、どこの施設も予定時間をオーバーしての見学となり、そこで働く職員の一生懸命さが伝わってきました。
設備はもちろん驚くほどすばらしいものでしたが、それ以上に感動したのは、施設を運営する方をはじめ働いている職員の考え方、意欲、熱意でした。どこの施設からもスタッフの「熱い思い」を感じて帰ってきました。
「支える会」会員 菊水 裕子 強度行動障害問題を考える講演会に参加して
「通常の人なら関連づけない事柄を誤って関連づけてしまう」。 もっとも印象に残る言葉だった。福祉には門外漢の私が、無認可小規模作業所に転職して一年余り。経験も少なく、強度行動障害といえば、はるか昔、学生時代のボランティア活動を通じて、「ああ、あの人のことかな」という記憶があるぐらい。会場には、保護者や、強度行動障害の方と日常接する施設関係者といった人々が多かったにも関わらず・・・。 そのためかも知れない。講演は、私にとっては、差し迫った問題の解決方法を探るというより、ひとに関して、新しい視点を提供してもらう機会となった。 八歳男児。食事中などに突然、父親にものを投げつけるという。第三者には理解しにくい行動の背景を、情報の収集と分析によって明らかにする。ひとつの行動を日時はもちろん、その直前の状況や周囲の人の反応なども逐一記録し、行動の経緯も含め、なぜか?を分析する。 すると、この男児は、物を偶然投げた時、車で外出したという楽しい経験があり、父に物を投げると車で外出できるという誤った情報をインプットしていたことが分かった。そこで男児に車のキーを渡すように指導すると、ものを投げる行為をストップしたという。うーん、サスペンス映画ばりの謎解き! さらにいくつかの例を出し、講師は介入計画を立てるヒントを与えてくれる。写真や絵を用いて、コミュニケーションを視覚的に行うのだ。私は素直に感心してしまう。だが待てよ。んっ、と考えてしまう自分にも気づく。 そう、人間、すべての行動に理由、原因があるのだろうか?本人がそれを自覚するか否かを問わず。 ジョン・アーヴィングの小説「オウエンのために祈りを」。トマス・アクィナスが書いた「動きによる神の存在の証明」という一文がある。・・・さて、第一の動因なしに道具が動くと考えるのは、無学な人びとにとってもおかしなことである。なぜならこれは、ある箱やベッドが、鋸や手斧によってつくられたが、使い手の大工はいないと考えるに等しいからだ。それゆえ、何ごとにも第一の動者は存在するに違いない――そして、われわれはそれを神と呼ぶのである。・・・!。 あぁ、昔から人間は原因探しをやってきた。神、あるいは科学的手法であろうと、ある行動の原因を探るのは、可能か不可能かを問わず、時代の要請なのだろう。そしてコミュニケーションの手段は時代とともに進化を遂げる。 だが、強度行動障害の原因探しと、介入計画の立案への熱中には注意が必要だろう。私たちの日常行動の原因も他者に理解され得るのだと考えなければ、強度行動障害の原因を探ろうという私たちの努力は、障害を持つ人々へ非礼となりはしないか。常に要求されるものは、ひととしての普遍性への配慮に違いない。 逆に、私たちが外国語を学び、外国人と接する時、文化の違いに戸惑いながらも、辿り着くのは、ひとが持つ普遍性だと思う。ならば、強度行動障害を持つ方と、適切なコミュニケーション方法を探り出すことで、意思の疎通がよりうまくいくならば、違和感を持って過ごしているはずの社会も、彼らが持つひととしての普遍性に気づくのではないだろうか。 デイセンター夢飛行 大槻 端文
医療的ケアに関するアンケート調査を終えて 学齢期における医療的ケアに関するアンケートにご協力下さり有り難うございました。 大阪市を含む大阪府下の会員の皆様を通じて手渡し形式で111枚のアンケートをお願いしたところ、71枚の貴重な回答を得ました。お忙しい中を本当に有り難うございました。そのうち実際に医療的ケアを必要とされている49人の方々を有効回答者(以下回答者とする)として調査集計しました。 回答者は各養護学校11校に在籍していて、通学籍は69%で訪問籍は16%の割合でした。 病名は合併症を含む脳性マヒが34人で69%と最も多く、医療的ケアの内容は口腔や気管からの吸入が36人、経管栄養が32人、酸素や薬剤の吸引が22人と、回答者の40%〜70%が複数回答でケアを必要としていました。 ほとんどが学校関係者と話し合いをもっており、学校内での医療的ケアを「教師が行う」と回答した方は35人(71%)と高い割合で、「今のままでよい」が23人(47%)、「教師や看護婦などに対応してもらいたい」が26人(53%)でした。 そして、回答者全員が「子供の主治医と学校側との話し合いを持つことができる、すでにやっている」と回答されており、学校側の理解が「あると思う」と答えた方が32人(65%)でした。 他にも学校内で良い点や改善してほしい事、日常的な問題を自由に記述してもらってますので、詳しい資料が必要な方は事務局までお問い合わせください。 又、参考資料として学齢期以外の方々へ17枚を配布したところ9枚の回答がありました。そのうち有効回答者7人分の資料も添付してあります。ぜひご覧下さい。
家庭と教育と医療の連携という日中の支援体制づくりを構築していくことが、ひいては卒業後の福祉と医療の連携づくりへと発展していくものと予想されます。しかし、今回の調査で学校内での理解があり、学校側との話し合いをもちながらも、それに至るまでに長い期間をかけ、保護者付き添いで学校間との討議を重ねるケースが多く見受けられ、全体の統一意見ではなく、一部の教師による理解から援助をされている様子もうかがえます。又、積極的に医療的ケアの研修をされている学校と全くされていない学校間の格差も気になりました。 社会全体で介護を支える福祉になる傾向を考えると、家庭と医療との間に安心できる第三者的福祉側の支援体制づくりが必要です。「医療面で不安をかかえたまま卒業しても、行くところがない」といった家族の声を私たちはもっと真剣に受け止め、重症心身障害児・者にとって福祉サービスの充実とは何かを改めて考え、追求していきましょう。 運営委員 上田 最初に戻る18 新年のご挨拶を申し上げます 2000年という大きな節目の年を迎え、重い障害を持つ人々の幸福を願い、「人としてあたりまえに生きる」ことの実現に向けて決意を新たにしています。 今年は、不景気と財政難の逆風が吹き、社会福祉基礎構造改革や介護保険.医療保険の改正等大きな波が押し寄せる激動.波乱の年となりそうです。 その大波の中で行方を見失わないようにしっかり舵取りをしていかねばと覚悟しています。 「大阪府重症心身障害児.者を支える会」と云う船が力強く前進するためには、多くの方々のご支援が何よりの原動力です。 どうか今年も宜しくお願い申しあげます。 大阪府重症心身障害児.者を支える会 会長 今井清行 重症心身障害児.者のショートスティ制度の拡充を!! 2000年という歴史的な大転換の年頭に当たり、「大阪市.支える会」として最も強く望んでいることは、ショートスティ制度の早期整備化です。 ご承知の通り、本市には重症心身障害児.者(以下重心と略す)の施設は一カ所も存在せず、辺ぴな府下や他府県を利用しているのが実状で、この受け入れ施設の未整備が、本人並びに家族の生活状況に歪みをもたらし、介護者の健康状態の悪化など在宅生活に深刻な影響を与えています。 ますます重症化する子の入院に一年近くも付き添い、一度も外泊できなかった母、養護学校卒業後行き場がなく在宅で何十年も二十四時間介護し続け、自分の健康チェックもできず重い病気にかかってしまった母などなど...枚挙に暇がありません。地域生活を可能にしているのは母の力が大です。母は立派な社会資源と云えます。この大切な資源を枯渇させるようなことが絶対あってはならないのです。その為には適度な休養が必要です。レスパイト.ショートスティを利用することによりゆとりができ、子らへのやさしさと明日への力が湧いてきます。その為にはどうすればよいか。 ○ 早期に解決するためには、既存施設の有効利用です。具体的には、重心通所施設の「さんめい苑」、重心通園事業B型の「淀川暖気の苑」「南大阪療育園」などにショートスティ機能を付加することにより、利用者の実態把握のメリットを生かせ、早期実現が可能になります。 より手厚い医療的ケアを必要とする人達には、日頃かかっている公的病院などの空床利用などがあげられます。これも安心材料です。 ○ 中.長期的には平成10年度より市当局が「重症心身障害者援護施設のあり方検討委員会」を発足され、地域生活支援という視点から入所施設作りを、そこに大幅に(類を見ない) ショートスティ 枠を設け、地域生活を可能ならしむる支援システムの構築に意欲的に取り組んで頂いています。この実現の早からんことを祈っています。 会員の最もニーズの高いショートスティ制度の拡充に向けて、皆様方と共に頑張っていきたいと思いますので、宜しくご支援.ご協力の程お願い申しあげます。 大阪市重症心身障害児.者を支える会 会長 寺岡 冨子 NO.17 社会福祉法人「全国重症心身障害児者を守る会」とブロック活動 大阪支部の会員の皆様に一言ご挨拶申し上げます。 社会福祉法人.全国重症心身障害児.者を守る会は二つの顔を持っているといえるでしょう。すなわち、一つは法人として重症児の診察、療育相談事業、東京都や世田谷区からの委託による入所施設、通所施設の運営等に当たる部分と、二つ目はいわゆる親の運動を推進する「運動推進部」です。そして地方の各都道府県支部は運動推進部に所属することになります。しかし、法人の事業と運動推進部はクルマの両輪で、重症児福祉の充実を願う全国の親の理念を実践し、逆に実践の場で得られた数々の経験を親の運動に反映さしていく。 この両者を等しく発展させていくことが必要です。従って、支部は法人の事業に直接関係ないとはいえ、それを支えているのは一人一人の会員であるという認識を持ち、法人の運営にも注目していただきますようお願いします。 さて近畿ブロックは六つの支部があります。これらはその沿革、会員構成、役員構成がそれぞれ異なり、その活動内容も様々です。中でも大阪支部は在宅の会員が多数を占めること、小規模施設の職員も会員として活動を支えていることが他の支部には見られない大きな特徴です。そして現在、この道のベテランである今井支部長を中心に、活発な活動を展開しておられることに心から敬意を表すものです。 今、福祉は、施設福祉から在宅福祉へ、サービスの質向上のためのチェックシステムの導入、措置から利用へといった大きな転換点を迎えています。大阪支部の志向されている運動はまさに時宜を得たものといえるでしょう。今後とも、貴支部のますますのご発展をお祈りし、近畿ブロックの先導的役割を担っていただきますよう、この機会を借りてお願い申し上げます。 近畿ブロック長 山中 伸一 NO.16 守る会創立35周年記念大会に参加して...激流の中での記念大会 大阪支部も全国重症心身障害児者を守る会の一員として平成6年10月に大阪府重症心身障害児者を支える会として発足し、たとえ重い障害を持っていても一人の人間として普通の生活が暮らせる社会を築くことを目標に種々なる活動を展開しているところです。 しかし、近年、国家並びに地方財政の厳しい中、医療費の抑制、地域格差の拡大等、重症児者を取り巻く環境は益々厳しくなっており、ご承知のように大阪府では財政再建プログラムなるものが組まれています。 21世紀を目前にし、高齢化社会を向かえ、益々福祉施策の増大、多様化が必要となっている昨今、昭和26年に社会福祉事業法が設定されて以来、大きな改正が行われていない、社会福祉事業、社会福祉法人、措置制度などの社会福祉の共通基盤について、社会福祉基礎構造の改革が進められており、昨年来より障害者関係の各審議会等で中間、最終報告又意見具申等で内容が公表され21世紀に向けての将来像が段々と明らかになってきました。 介護保険を始めとしてこれから始まる種々なる改革が重い障害を持つものにとってより良い方向に向かうのか、また重症心身障害福祉が後退するものか、福祉施策の動きに目が離せない状況になっております。正に激流の中での35周年記念大会で、全国より約1500名の参加者で会場はぎっしりと埋まっていました。19日には秋山ちえ子先生の「この頃 思うこと」をテーマに講演会、続いて、岡田喜篤先生の司会のもとに、「21世紀に向けて」をテーマにシンポジウムがあり、シンポジストのお一人、末光茂先生より、施設入所者の親の問題意識のなさ、おまかせ主義等に対し、厳しくご指導を受けました。懇親会後には「地域社会の充実を考える」をテーマに自由参加による懇談会が夜10時過ぎまで開かれました。翌日の本大会の記念式典では元内閣総理大臣の橋本龍太郎先生を始めとして多くの来賓を迎え記念大会にふさわしい内容で盛大に行われました。参加を通じて感じたことは、重症児者を抱える親等が自己決定のできない重症児者に変わり、これから始まる大変革がより良い方向に進んで欲しいと願う想いが、重症児者を抱える父母を始め、多くの関係者が結集し、充実した記念大会に結びついているのだと感じました。 又、本大会の前日には全国重症心身障害児者を守る会が東京都より運営委託されている「東京都立 東大和療育センター」、そして大会後は全国で最初の重症児施設である「島田療育センター」を見学させていただき、入所施設、在宅支援の両面においても大阪は東京都と比べ、大幅に遅れていることを肌で感じました。 大阪支部は、全国重症心身障害児者を守る会創立から30年遅れの旅立ちで、その間の重症児.者を守る運動の空白は簡単に埋めることができませんが、来るべき21世紀には全国のどの地域においても「この子らを世の光に」と繰り返し自問し、東京を後にしました。 運営委員 平野 NO.15 総会開催に当たって...第六回 今年は第6回目の総会になります。「支える会」が創立されて、丸5年が経ったことになります。今までの5年間は「支える会」を知っていただき、重い障害を持つ人とその家族に信頼され、行政を始め社会の多くの人の人達に認められるよう、努力して参りました。その目的は達せられたと思っています。 これからの5年間は皆様のご信頼を裏切らない努力を続けていくことは勿論ですが、大阪府を始め、各市.各地域の関係機関と密接に連携し、大阪の障害者福祉施策づくりに参加できるよう一層努力して参ります。 又、重症心身障害者が当たり前の人として、地域社会で生きていくための社会資源づくりや各種サービスの充実に、会自身が直接関わっていくことを大きな目標にしたいと思っています。幸いなことに我々の会は親.家族のみでなく、重症児.者に関わっていただいている多くの福祉関係者.医師.看護者.看護婦.教師の方々が会員になり、運営委員になっていただいています。親としての発想と専門家としての知識.経験が相俟ってバランスのとれた会です。 今年は社会福祉の基礎構造改革をはじめ、成年後見制度.介護保険の実施.医療保険そして養護教育の指導要領までも改められました。重い障害のため自己主張.自己決定の困難な人達にかわって、私たちが勉強し、支えていかなければなりません。 「支える会」が必要であるのはまだまだこれからです。社会の多くの人々のご理解とご支援をお願いします。 支える会 会長 今井 清行
NO.14 本年の抱負 支える会会長 今井清行 「1999年度」最初の「さえる会」です。今年の展望を考え、決意を新たに頑張らねばと思っています。今年は社会福祉の「ビッグバン」大変革、大激動の年になります。そのうえ不景気風が吹き、私達にとっては強い逆風が吹き荒れる年になりそうです。しかし昨年から大阪府内各地域で新しい風が起こっています。 ☆ 「お元気ですか.どないでっか?」と呼びかけて泉州地域のかわら版として支える会のニュースが流れています。会員の人々の日々の生活に直接かかわることを、地域社会に密着した運動として、しかも気軽に、楽しく進めていこうとする方々が集まっています。泉州地域の方にご連絡ください。 電話 0724−65−6168 上田 敦子迄 ☆ ”ワハハと笑いながら障害児の母の輪を広げよう”「わ.ははの会」が行政区域を越えて発足しました。楽しく、ためになる?小冊子を発行されています。 事務局 摂津市千里丘東4−22−20 稲村 幸子様 ☆ 堺市では重症心身障害児.者の通所.入所施設.地域生活について本気で進めていこうと、支える会をはじめ他団体.作業所.社会福祉法人の代表を中心に勉強会を始めました。 電話 0722−86−9615 今井 迄 ☆ 大阪府.大阪市でも今年は本格的に重症心身障害児.者の生活施設整備に向けて取り組んでいただけることでしょう。 ☆ 超重症児.小児特定慢性疾患(難病)を抱えている医療関係機関からも生活施設や地域生活支援システムの早期整備が望まれています。 ☆ 全国守る会の会員は、国立療養所.入所施設の人達が圧倒的に多いのですが、数少ないが各地域で地道に、力強い活動を続けている「在宅」の会員が連絡を取り合い、情報交換のネットワークを作ろうと頑張っています。 ☆ 大阪府医師会勤務医部会小児の在宅医療システム検討委員会は大阪府養護学校校長会と共に、養護学校における「医療的ケアマニュアル 保護者」を作成中とのことです。 ☆ 私個人としても地域生活支援事業「ナイスネット」を発足し、ガイドヘルパー.ホームヘルパー.移送サービスを有料で実施しています。また、グループホーム「堺自立の家」など堺市でグループホームを運営している4つのグループが力を合わせて「堺市に福祉ホームを立てる会」を発足させ、将来計画として、市町村障害者生活支援事業を目指しています。 このように行政の力が衰えた分、私たち民間人の知恵と行動力が必要になっています。今年も着実で力強い歩みを続けましょう。 NO 13 学校卒業後も豊かな社会生活を はじめに
養護学校教育の義務化(昭和54年)がされてから随分久しくなりました。養護学校には、経管栄養や吸引.導尿など医療的ケアが必要な児童.生徒が在籍するようになってきました。やがて、この人たちが卒業した後も健康で豊かな社会生活−地域生活−を過ごせるように、決して家にいたきりになることの無いようにすることは、大切な進路指導の課題となっています。学校での進路指導という限られた枠の中でも出来そうなことは何かと考え、これまで取り組んできました。 1. 保護者への情報提供の取り組み 保護者の方がどれほど社会資源があるのかを知っていることは大切なことです。そこで、「進路案内−保護者版−」を作成し、全保護者に配布し、年度始めには進路説明会でお知らせをしています。これは、民政、保健、労働等縦割りとなっている行政の制度を進路選択に必要な形に編集しなおしたものです。さらに、98年2月現在で大阪市内に知的関係で68カ所、身体関係で73ヶ所の福祉作業センターがあり、それぞれにきびしい運営の中で、頑張って活動を続けいますが、この中で、本校の関係する区域の福祉作業センター46カ所を進路指導部員が直接取材して「福祉作業所案内」を作成し、全保護者に配布して保護者懇談会の時などに活用されるように取り組んでいます。 2.高等部2年...保護者作業所見学会の取り組み 高等部3年生の6月頃には進路希望先での現場実習ができるようにと考え、高等部2年保護者を対象として「作業所見学会」を実施しています。これまでに見学した作業所や見学したい作業所等希望調査を実施し計画を立てています。取り組み始めて4年になりますが、今年も3日間、6ヶ所の見学を行う予定です。この機会を活用するように保護者に案内を出しています。 3..長期休業(夏休み、春休み)中の親子一日体験入所の取り組み この夏休みに、「四天王寺さんめい苑」や「デイセンター夢飛行」等10か所で親子一日体験入所を実施し、小学部から高等部まで延べ29組の親子が参加しました。参加した保護者からは、「1カ所目は緊張しっぱなしであったのが、二ヶ所目になると随分と緊張もほぐれていい経験になった」といった報告を聞いています。保護者単独ではなかなか各施設を訪問したりする機会をつくれないものですが、学校側で企画し施設側の理解.協力を得て取り組むことで、早い段階から様々な経験を積み、情報を得ることができ、将来の進路選択に役立つのではないかと考えています。 4.保健婦相談の紹介 高等部卒業時には、保健所での保健婦相談の希望調査を実施し、希望者には学校長名で各区保健所の保健指導係長宛に紹介状を出しています。先に厚生省で大臣官房の組織改編があり、保健.医療.福祉の連携強化が打ち出されています。こうした国の流れに一つでもあります。保健所は普段はあまり目立たない所ですが、赤ちゃんからお年寄りまでの健康を預かる大切な所です。ここで、保健婦さんたちは地域住民の健康を守るために様々な活動を展開しています。数年前にもたれた大阪市地域リハビリテーション協議会の場でこのことに気づかされ、少しずつですが保健婦紹介の取り組みを行ってきました。 最後に これまで平野養護学校で取り組んできたことについて、簡単に述べてきました。「進路指導は障害児教育の総和」とよく言われるのですが、まだまだ取り組まなければならない課題は山積みしています。保護者の皆様の熱い希望である「母子分離」の生活の場を実現することは並大抵のことではありません。学校の中でも、保護者の方々としっかり話し合い、理解.協力を得ながら取り組まなければと思っています。 大阪市立平野養護学校 前畑 常男
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