医療的ケアに関するアンケート調査を終えて

医療的ケアに関するアンケート調査報告U 

 学齢期における医療的ケアに関するアンケートにご協力下さり有り難うございました。

 大阪市を含む大阪府下の会員の皆様を通じて手渡し形式で111枚のアンケートをお願いしたところ、71枚の貴重な回答を得ました。お忙しい中を本当に有り難うございました。そのうち実際に医療的ケアを必要とされている49人の方々を有効回答者(以下回答者とする)として調査集計しました。 回答者は各養護学校11校に在籍していて、通学籍は69%で訪問籍は16%の割合でした。

 病名は合併症を含む脳性マヒが34人で69%と最も多く、医療的ケアの内容は口腔や気管からの吸入が36人、経管栄養が32人、酸素や薬剤の吸引が22人と、回答者の40%〜70%が複数回答でケアを必要としていました。

 ほとんどが学校関係者と話し合いをもっており、学校内での医療的ケアを「教師が行う」と回答した方は35人(71%)と高い割合で、「今のままでよい」が23人(47%)、「教師や看護婦などに対応してもらいたい」が26人(53%)でした。

 そして、回答者全員が「子供の主治医と学校側との話し合いを持つことができる、すでにやっている」と回答されており、学校側の理解が「あると思う」と答えた方が32人(65%)でした。 他にも学校内で良い点や改善してほしい事、日常的な問題を自由に記述してもらってますので、詳しい資料が必要な方は事務局までお問い合わせください。 又、参考資料として学齢期以外の方々へ17枚を配布したところ9枚の回答がありました。そのうち有効回答者7人分の資料も添付してあります。ぜひご覧下さい。

  家庭と教育と医療の連携という日中の支援体制づくりを構築していくことが、ひいては卒業後の福祉と医療の連携づくりへと発展していくものと予想されます。しかし、今回の調査で学校内での理解があり、学校側との話し合いをもちながらも、それに至るまでに長い期間をかけ、保護者付き添いで学校間との討議を重ねるケースが多く見受けられ、全体の統一意見ではなく、一部の教師による理解から援助をされている様子もうかがえます。又、積極的に医療的ケアの研修をされている学校と全くされていない学校間の格差も気になりました。

 社会全体で介護を支える福祉になる傾向を考えると、家庭と医療との間に安心できる第三者的福祉側の支援体制づくりが必要です。「医療面で不安をかかえたまま卒業しても、行くところがない」といった家族の声を私たちはもっと真剣に受け止め、重症心身障害児・者にとって福祉サービスの充実とは何かを改めて考え、追求していきましょう。

もとへ戻る

医療的ケアに関するアンケート調査U

 
ひと昔まえまでは、我が子が障害のあることをひたすらかくし通し、親子共に肩身の狭い想いをしながら暮らしていた風潮がありましたが、全員就学制や国障年を経た現代では障害があっても皆と同じように生まれ育った地域での生活を堂々と営むことがあたりまえとなってきています。
 近代における医療技術の発展によって重症児の生存や生活がめざましく向上しているにもかかわらず、それをサポートする体制づくりも、制度上からも遅れを生じているのが本人側・保護者と施設側とのずれになっているのではないでしょうか?
 具体的には吸引・気管切開・人工透析・導尿など医療的ケアを保護者に指導されている在宅療育が行なわれているのに、就学という教育現場で安心して通学できるように医療との連携が整備されていない等、公的な責任能力が伴っていないところに大きな不安を感じます。
 地域の校区内に通学させたいと願う親の気持ちがありながらも、重い障害に対するケアを考慮して養護学校を選択した場合に養護学校側の専門性を親が求めるのは(今の時代では)当然のことだと思えます。
 そして、約18年間で就学時期はあっという間に過ぎて行きます。その後の長い人生が教育によって培った力を土台として充実したものとなるような地域生活になる為には何が必要なのか?皆さん、いっしょに考え、発言していきましょう。

 前回、学齢期における医療的ケアに関するアンケートの報告を掲載しまたが、もう少し詳しい内容を追加します。
 
 学齢期を対象に調査をしたので、全員が在宅生活で通学籍もしくは訪問籍です。
 
 回答者49人のうちもっとも多い病名は脳性マヒで34人(69%)て゜合併症ありと注意書きが多かったので重複の障害があると見受けられます。そして学校内で医療的ケアをすべて教師が行うと回答したのは35人(71%)でしたが、学校によって研修やマニュアルの作成・講習等を行い医療的ケアについて積極的にとりくんでおられるところや、今は教師に行なってもらってはいるが、それにいたるまでに何回も会議を重ねたり、長い日数がかかって(7ヶ月以上)やっと教師が行うようになったという学校もあり、内容に差がうかがえました。
 また保護者が付き添って行うと回答したのは12人(24%)で看護婦が行うが保護者付き添いの条件であるとか、吸引のみを保護者が行っているとか、付き添う条件がまちまちのようでした。
 32人(65%)の方が学校側が医療的ケアについて「理解がある」と答えており「思わない」、「わからない」が14人(28%)でした。その内容として具体的に述べてもらい、「良い点」と「改善してほしい点」の質問には全く対称的な意見に分かれてました。前者は医者との話し合いがあったり、前向きにとりくんでくれてたり、ケアの必要な時にはすぐ対応してくれたり、手厚く細かいところまで子供の事を理解してくれている・・・・・・等と記述してあり、後者は教師や学年によって考えが一つにまとまっていない、もっと話し合いをしてほしい、教師にケアをしてもらうまでの期間が長い、学部や学年が変わるとまた一からやりなおしなので学年が上がるのが不安だ・・・・・・等でした。
 やはり学校ごとに多少のずれが見受けられます。
 在宅でありながら医療的ケアを日常とする場合、学齢期の保護者は家庭と病院と学校間を往復しなければなりません。いまだ教育現場では医療的ケアについて統一した見解がなされていない為、理解の少ない学校では教師の理解を得る為に親の負担がかなり重くなっています。保護者付き添いを求められるとまさに24時間の拘束となり、看護面だけでも相当な疲労となっているようです。そうなると障害があってもあたりまえに生きる人権とはなにか?を考えさせられます。親子共にショッピングをしたり、レストランで食事をしたり、スポーツ観戦をしたり、コンサートを聴いたり・・・・楽しい生活を送れなくなってしまうのが医療的ケアを必要とする在宅生活ということになってしまいます。
 
 アンケートだけでは判断できないのでこれからもこの問題について多くの方々と意見を交わしながら、医療・福祉・教育・在宅生活の体制づくりを真剣に考えて行きたいと願っています。
 最後に自由な意見を記入してもらったので、御紹介します。
                                   
学校や日常的な医療的ケアについて希望、疑問点、困ったこと等
 
・重症心身障害児は、予防接種など受けられないが、息子の通院している病院では10年前にハシカワクチンを、今年はインフルエンザも受ける事ができました。 胃ろうのチューブなど無料でもらっています。
 
・特定疾患に当てはまらない為、毎日、頻回に吸引が必要なのに、吸引器も吸入チューブも補助の対象にならないといわれ、全額負担しなければならないことが納得いきません。
 
・今度就学を考えている学校は、重度の障害児を対象にした学校なのに、なぜ看護婦さんの常勤がないのか?(もちろん医師もいません)
 
・今はまだ年齢も低い為に医療的ケアを保護者が付き添ってすることに抵抗はありませんが、今後ずっと保護者が付き添っていくのかと思うと抵抗があります。やはり、看護婦がついて学校側でしてほしいです。
 
・保護者と学校と医療機関との関係が偏らないように。
 
・直接、医療的ケアの必要な子供とかかわっている限られた教師だけが医療的ケアの事を理解し実践しているようです。学校全体がそういう子供たちを受け入れている事を真剣に受け止めて、前向きに取り組んでほしい、どの教師も基本的な知識はもっていなければいけないし、医療的ケアを通して、どんな重症心身障害児であっても快適な学校生活を送り、いろいろな教育を受ける事できるようにしていくのだという姿勢を学校全体がしっかりも っていてほしい。主治医と担任の連携ということで、直接病院へ出向いて話し合うという機会をもってもらったのですが、実際には4名担任のうちたった1名、それも医療的ケアの全く経験のない、今後も直接やることのなさそうな教師が来られたので驚きました。せっかくの貴重な時間を前向きに活用することがないというクラスの姿勢がよくわかって失望しました。2年間現実に医療的ケアをしてくださっていた先生方は今更主治医にきくこともないということなのかと、医療的ケアを単なるテクニックと書類上の責任という問題としかとらえてないということと受け取りました。
 
・小学部の先生、中学部の先生、高等部の先生とその学部によってどこまで医療的ケアをしてくれるのか、私には今のところわかりませんが、今現在、小学部においては、私が何かあれば学校まで行って対応するということが ないので、先生方が全てやってくれるので、問題ありません。
 
・小学部の先生、中学部の先生、高等部の先生とその学部によってどこまで医療的ケアをしてくれるのか、私には今のところわかりませんが、今現在、小学部においては、私が何かあれば学校まで行って対応するということがないので、先生方が全てやってくれるので、問題ありません。
 
・我が子においての学校におけるケアで、困ったことは、今のところないが、重度のお子さんや、もっと大変なケアの必要な子供たちに対する、対応はもう少し改善や見直しが必要であるのではないかと、感じます。どんな重度の子をもつ親であっても安心して預けられる学校になることが最大の希望です。
 
・まず、医療的ケアがわからなかった。
 
・胃ろうになって(現在は担任におまかせしていますが)担任、保健の先生、看護婦は医療的ケアはできないことを知ってショックだった。学校には行けないのかと悩みました。
 
・来年度卒業ですが、行く処がなく家にいます。それも、又、困っています。
・学校にいろんな事を希望して又、それに学校が答えてくれたとしても、学校を卒業してしまえば息子の様な重度の障害者は行く処がないのが現実です。週に一日でも2日でもいいから通える施設があればと思います。学校でよくして頂くほど卒業した後のギャップに悩むだけです。NHKのインタビューの人も言っていましたが、高等部の訪問学級が認められたけれど、3年間の猶予期間がのびただけで何も解決していないと。
 
・養護学校に在籍している子供たちはみんなかかえているものが大きいとおもいます。せめて、在籍中は、子供と保護者も楽しい毎日が送れるよう教育的配慮を強く望みます。そのためにもやる気のある教師、元気な教師の人 事及び看護婦の常駐を希望します。
 
・子供にとってどうする事が一番いいのか、楽になるのか、親と先生方との心の交流をもっとたくさんもちながら一生懸命生きているどんな子供も通える学校であってほしいです。
 
・小学校時代は校区の学校へ行ってましたが、医療的ケアを問題なくやってもらっていたのに、今の学校では、いろいろと手続きをしないとやってもらえないのには驚いた。私自身、学校で待機していた時期もあったの で大変な時もあった。養護学校だからこそ医療的ケアを何の問題もなくやってもらいたい。
 
・府立の学校においても小学部から中学部になったりして、学部変更になると、また手続きを一から始める。その際の簡素化したり、学部間の連絡を密にとりあうことによりスムーズに行って欲しい。
 
・気管切開しているので、私(母)になにかあった時に、預かってもらえる処(安心して)がない。
・自分の子供が医ケアが必要となってはじめて少しわかりました。学校内でもなかなか情報が得られず先生の言うがまま、みたいなところがあるかもしれません。難しいですね。
 
・今は満足しています。
 
・学校では充分配慮して頂き、満足している。しかし、ショートステイをさせてもらったある施設(病院ではない)の場合、吸引も充分してもらえずチューブが抜けると、夜中、早朝にかかわらず電話が入り、走らなければならない状態だった。「重症児(鼻腔他経管栄養、医療的ケアを要する子供)を受け入れます」と言いながら、いざ預けてみると、全然対応ができていない有様だった。今後どうしてもショートステイをさせなければならなくなった時のことを考えると不安。又、ショートステイの受け入れがある、ある病院 の場合、枠が一床だけで、しかも申込日が3ヶ月前の一日と決められらているため、ここは緊急時にいつも一杯の状態で役に立たない。学校だけでなく、他の様々な施設にも、この様な親の声が届くことを願っています。
 
・入浴やスクーリング時の送り迎えがたいへんなので、役所の福祉課などへ行ったが断られた。
 
・医療的ケアの人は、少ないですが、みんな困っています。一人と学校じゃなく困った人が集まって学校と話し合いがもてる場を希望します。
 
・兄弟がいる場合どうしても午後から用事がある場合、主人に休んでもらっているのですが、どうしても会社の都合で休めない場合があってすごく困って居ます。普通の学校の様に延長してもらえる事ができたら どんなに良いか、もちろんお金もお支払いします。いつもみてもらわなくてもその時だけで良いのです。上の子は小学2年より一度も授業参観など行っていません。今は高校生ですが、どうしても学校の用事が ある時は、本当にどうしていいのか分からないです。
 
・希望としては、今のところ通学の際、吸引等が出来ないのでバスに乗れず、自主通学をしているが(バスには教師が乗らず、添乗員のみの為)何らかのかたちで吸引が出来、バスにも乗れるようにしてほしい。 以前、添乗員だけでバスに乗れるように話を進めたが(バスに乗る時間が15分くらいで少ないので・・ ・)ドクターストップがかかり中止になった。
 
・今の学校には満足しています。高等部からが学校も変わるし特に医療的ケアについては心配です。
 
・痰が常に多い子で、痰がたまると、精神的に駄目になるので吸引して頂きたいのですが、学校ではなるべく自然に、痰を出す様にしているので自然に出す事は良いことなんですが、不快の時間少しでも、取り除 いてあげたい気持ちと、時間が少しかかっても、自然に痰出さして頂いて、ありがたいのですが、学校で、痰で、苦しい思いをしていないかと常に、頭の中にあり、吸引で痰を出す方が良いのか、自然に出すのが 良いのか、常に悩んでいます。
・私の子供は吸引が必要ですが、常時しなくてはいけないことはありません。自分で痰を出すことが出来るようになりました。ただ、季節の変わり目とか風邪をひいたときなどは、急に痰が多くなりやはり吸引器 の出番となるのです。そんなときには食事をとるのも大変です。学校ではあくまで医療的ケアは親だけが する姿勢をとっていますので、吸引が必要だと思う時には、学校をお休みさせる様にしています。同じ府下の養護学校でも医療的ケアをされている所もあると聞きますのに、この差はいったい何なのでしょうか。


もとへ戻る